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第14章 スライト・エッジ同盟を活用しよう  『推進力を利用する』

イソップ物語が伝えようとしているメッセージは完全に正しい。

早いことが最善とは限らないし、遅くても競争に勝てない場合も多い。

マサチューセッツ工科大学(MIT)のピーター・センゲ教授が自著『最強組織の法則ー新時代のチームワークとは何か』(徳間書店)の中でこのことに関して次のように記している。

『生態系から動物、そして諸々の組織に至るまで、事実上すべての自然のシステムには、最適な成長速度というものが本来存在している。この最適な成長速度は、「可能な限り最速の成長速度」に比べると刈るかに遅い。しかし、成長速度があまりにも遅くなりすぎると(がんの場合にはそうなるのだが),そのシステム自体が速度を緩めることで埋め合わせしようとする。だがその過程で組織の生存を危機にさらすことになるかもしれない。』

成長が早すぎると自分のためにはならないという実例は、枚挙に暇がない。あまりに急成長しすぎて自滅することになった会社。日の出の勢いでのし上がったあと、墜落して燃え尽きたロックスターや映画スター、スポーツのスター選手、政界のスター、2001~2006年ごろに急上昇した住宅が2007年から下落を初め、はじけてしまったアメリカの住宅バブル。

進歩や成長が早すぎると、往々にしてシステムの(あるいは人間の)生存が脅かされることになる。速度を上げることは、速度を落とすことへと容易に転じてしまうのである。

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